LIXILのエクステリア商品誕生の場所。研究開発を行う駒ヶ根事業所に行ってみた!
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LIXILのエクステリア商品誕生の場所。
研究開発を行う駒ヶ根事業所に行ってみた!

LIXILエクステリア商品の研究開発の中心地、長野県駒ヶ根にある「駒ヶ根事業所」。数多くのエクステリア商品がどのような場所で生み出されているのか、そしてLIXILのエクステリア商品の開発に向けた熱い想いを知るべく、LIXILの「駒ヶ根事業所」を訪れました!

※「LIXIL駒ヶ根事業所」は、一般の見学予約などは受け付けておりませんのでご了承ください。
※商品の展示をご覧になりたい場合は、全国のLIXILエクステリアショールームをご利用ください。

どんな施設があるの?

いざ、駒ヶ根事業所へ!

木曽駒ヶ岳など中央アルプスの山々に囲まれた長野県・駒ヶ根。そこに今回の目的地があります。25,810㎡と広大な敷地面積をもつ駒ヶ根事業所は、商品の研究開発や試験、企業のエクステリア研修の場所として1988年の開設から現在まで発展してきました。

駒ヶ根事業所

今回、そんな見どころたっぷりの駒ヶ根事業所を案内してくれたのは、エクステリア商品の開発全体を統括しているエクステリア商品開発部の移川 拓也さんと、駒ヶ根事業所を拠点に商品開発を担当している向中野 雄彦さんです!  

移川拓也

PROFILE

移川拓也

エクステリア事業部 エクステリア商品開発部部長
市場調査から商品の企画、開発、設計まで開発の全体を統括。

※部署名や役職は取材当時のものです。

向中野雄彦

PROFILE

向中野雄彦

エクステリア商品開発部 第三商品開発室室長
主に門まわり商品、プラスG、照明、オーニング、機能門柱などを担当している。

※部署名や役職は取材当時のものです。

期待に胸を躍らせながらさっそく正面玄関の階段を上ると最初に見えてくるのが本館。ここには、エクステリア商品の試験場が設けられています。

本館から右手に進むと屋内展示場に到着。展示場の中には、フェンスやポストからガーデンルームなどの大きなものまで実物大のエクステリア商品がズラリと並んでいます!

向中野雄彦

展示場では現在取り扱っている商品だけでなく、歴代の商品や開発の変遷なども展示しています。

30年前から最新の商品まで屋内展示場をじっくり見学したあとは、展示場を出て本館の屋上へ向かうことに。何が見られるのかワクワクしつつ足を進めると、なんと野ざらしに置かれたエクステリア商品たちを発見!こちらは、いったい何の施設なのでしょうか?

向中野雄彦

ここは商品を屋外に置いて耐候性などを検査する「耐候試験場」です。寒暖差の大きい駒ヶ根では厳しい寒さ・暑さを想定した試験や評価ができます。屋外に設置するエクステリア商品の開発において最適の自然環境なんです。

開発者が語る!

駒ヶ根事業所の特徴

向中野雄彦

気候が商品開発にぴったりなことはもちろんですが、駒ヶ根事業所の1番の特長は実物と同じ大きさで“見ながら、触れながら、体感しながら”商品を開発していることです。3Dの設計だけでなく、日頃から開発者自身が実物を確認しながら「こういうエクステリアもいいな」とか「こんな体験をしていただきたいな」とかを感じながら開発していますね。

実物サイズをつくって評価することが多いというエクステリア商品。たしかに、駒ヶ根事業所には屋内展示場だけでなく、屋外のいたるところに実物大のテラスやカーポート、照明などが見受けられます。

向中野雄彦

たとえば、照明であれば「エクステリアライト美彩(Bisai)」を屋外にも設置しています。樹木などいろいろな対象物を照らしながら光をデザインし、自分たちが「いいな」と思った商品を届けています。また社員自身も自宅にエクステリア商品を使用しながら生活することで、開発への理解を深めていますね。

移川拓也

あとはスペースが十分にあるので、長い間エクステリア商品を設置しておける点もメリットです。いつでも実物を見ながら、社員みんなで議論ができることは駒ヶ根の良さだと思います。また開発や生産工場だけでなく、協力いただいている販売工事店の方も一緒にディスカッションしてものづくりをしていることも特長です。

机上でイメージするだけでなく、つくり手が実物サイズで確認をしたり、実生活にも取り入れている。ここに、数多くの魅力的なエクステリア商品が生み出されている理由のひとつを見つけることができました。

さまざまな実物大のエクステリア商品を体感しつつ、新しいことを見つけるため、さらに敷地の奥へ。すると緑に囲まれた場所にコテージのような建物がひっそりとたたずんでいました。

向中野雄彦

こちらは自然浴生活を体験・体感でき、商品の細部まで見て、触れて語り合うことができる研修宿泊棟「見験学楽プラザ」です。販売工事店の方などがエクステリア商品の研修で訪れた際に宿泊されることが多いですね。

先ほどの屋内・屋外展示場で研修が終わったあと、夜はここの宿泊場所を使って食事をするようです。各部屋にガーデンルームが付いていたり、室内にもLIXILの水まわり商品があるので使い勝手を体験することができます。

向中野雄彦

ときには開発メンバーも販売工事店様の研修に参加させていただくこともあるのですが、「見験学楽プラザ」はエクステリア商品を利用いただきながら、リアルな声を聞ける貴重な場だと実感しています。

たくさんの憧れの設備を体感できる宿泊施設に思わずうっとり。さて次はLIXILの商品開発についてもっと深く知るために、駒ヶ根事業所がどのような役割を担っているのか見ていきましょう!

開発から試験、商品化まで、

どんなことが行われているの?

移川拓也

開発プロセスは、どのような商品が求められているかという全国の販売工事店様、そして実際に商品をご利用いただくユーザー様への市場調査からはじまります。そこで出てきた商品の要望やニーズをどのような形や機能で、どのように具現化するかを考えるのが駒ヶ根事業所の役割です。

試験

商品の設計・試作品の製作まで進んだら次は試験です。LIXILでは法定基準を守ることはもちろん、より安心・安全・快適にお使いいただくために独自の厳しい基準も設けて試験を実施し、機能性・耐久性・安全性などのあらゆる性能を評価します。

たとえば、フェンスは猛烈な風や台風時の風圧を想定した風速34m/s *で試験を実施。金属の屋根葺き材が飛散する強さに相当する重りを積載し強度を確認しています。

門扉では一般的な家族構成から日常生活で何度開閉されるかを想定し、10万回以上の開閉試験で耐久性を確認することで、商品の品質を保証しています。

※社内基準。商品や仕様により耐風圧強度は異なります。

フェンス耐風圧荷重試験
フェンス耐風圧荷重試験
ロボット
ロボットによる開閉繰返し試験
移川拓也

開発と試験の拠点が近くにあることは駒ヶ根事業所のメリット。開発者と試験を評価する人が密に意見交換をできるので、開発サイクルが早く、LIXILの多彩な商品開発を可能にしている理由につながっていると思います。

向中野雄彦

駒ヶ根事業所では、商品開発のほかにも研究開発や技術開発も行っています。特に二酸化炭素の排出を抑制するための「環境配慮型商品」は昨今のキーワード。太陽光電池を使ったゼロエネルギーなどの検証をしています。また、「快適性の向上」に向けた研究も。夏に室内が暑くなりやすいガーデンルームは、どうすればより快適に過ごせる空間になるかを実際に屋外に設置して研究を行っています。

環境配慮型商品

「開発」は、現在私たちが使用しているエクステリア商品の開発だけでなく、未来に向けた新しいエクステリアの価値や技術の創造も含まれている、というのは今回新たに気づくことができた視点。では、駒ヶ根事業所でさまざまな研究開発を行っているLIXILが、今後エクステリア商品の開発で目指していることは何なのでしょうか?

「Design&Quality」を目指して。

LIXILのこれからのエクステリア開発

移川拓也

今後の目標としては、「デザインと品質のLIXIL」と言っていただくこと。デザインは商品そのものの構造だけでなく、自然素材を含む周囲の素材との調和や空間全体のコーディネートにどう活きるかという視点も重視しています。また趣味嗜好が多様化する昨今、さまざまなユーザーさまの生活スタイルに合ったデザインの研究も行っています。品質面では安心・安全にご利用いただくことはもちろん、環境への配慮やユーザーさまが生活の中で見て・使って魅力に感じられることなど、あらゆる品質にこだわった商品づくりを目指しています。

design&quality

また、開発では人の五感を用いて評価する官能評価を取り入れながら品質を確認しているとのこと。いったい、どのような評価を行っているのでしょうか。

向中野雄彦

たとえば、人感センサ付きのライトは人が来るとパッと明かりが付いて、いなくなると消えますよね。そこに、お出迎え感を出すために、映画館のようにフワ~っと徐々に点灯・消灯させようとした場合、どのぐらいの時間で100%の点灯になると心地よいのかを、1.5秒なのか2.0秒なのか、2.5秒なのかなど0.1秒単位で確認しています。

移川拓也

熱く感じにくい人工木デッキ「デッキDC」を商品化する際も、何人もの設計者がデッキの上を実際に歩いてみて、いろいろな人の足裏の熱さの感じ方を試験しました。このように「Design&Quality」を目指して数値にしにくい細かな部分までこだわることができるのは、何度も何度も繰り返して実物大の商品づくりができる駒ヶ根事業所があってこそですね。

移川さんや向中野さんのお話から、 LIXILがデザイン性や利便性、安全性など多方面における「Design&Quality」を追求したエクステリア商品を目指している気持ちが強く伝わってきます。そしてその思いを具現化できる理由が「LIXIL 駒ヶ根事業所」の環境にあるのだと今回の見学で実感できました。