【エクステリアプランナーが解説】
部分的にフェンスを使った
かしこい目隠し方法と施工事例
フェンスで気になる視線を「部分的」にカバーするだけで、住まいの快適さは格段にアップ。そこで今回は、エクステリア(外構)の匠こと「エクスプランニング」の古橋 宜昌さんに、部分的な目隠しの設置ノウハウや実際の施工事例を伺いました。

PROFILE
古橋宜昌
有限会社エクスプランニング代表取締役
一級建築士/一級造園施工管理技士/
一級土木施工管理技士
エクステリア&ガーデンアカデミー校長
一般社団法人日本エクステリア設計協会会長
見た目の派手さや奇抜さだけではなく、住む方の立場に立ってコストや施工性、安全性、そしてメンテナンスまでも考えて、トータルでデザインを手掛けるエクステリアの匠。
目次
フェンスの部分設置がおすすめの場所
1. 道路に近い窓まわり
一般的に目隠しフェンスを設置するメリットは、外からの視線を遮れること。特にリビングやダイニングの掃き出し窓が人通りの多い道路に面している場合、目隠しになるものがないと昼間でもカーテンを開けにくくなってしまいます。高いフェンスで家のまわりを覆わなくても、部分的な目隠しがあるだけでリビングやダイニングの居心地は、格段に改善されることがあります。

2. 隣家との距離が近い場合
自宅と隣家の距離が近く、お互いの窓や玄関などが近接している場合は、視線が重なりやすいもの。フェンスで視線をさりげなく遮ることで、プライバシーを守ると同時に、お互いが気持ち良く暮らすための配慮にもなります。


意外と気づかれていないのですが、フェンスは外からの視線を遮るだけでなく、室内から見える景色を整える役割もあります。
例えば、窓から隣家の裏側や物置などが見える場合でも、その前に目隠しを設置するだけで景色がすっきりとします。
3. 「旗竿地」のアプローチ部分
旗竿地とは、道路に接する出入り口部分(間口)の幅が狭く、細長く伸びる路地のようなスペースの先に住まいがある土地のこと。旗竿地では細長い路地部分をアプローチとして演出することが多くあります。しかし、路地の両側は隣家の裏側にあたることが多く、室外機など生活感の出やすい設備が目に入りやすいため、目隠しなどで隠す工夫をするのがおすすめです。

旗竿地のアプローチの両側を目隠しする方は、まだまだ少ない印象です。生活の場ではないため「そこにコストをかけなくても…」と思われるのかもしれません。
しかし家のアプローチは毎日通る場所。こうした場所の景観を整えることで、生活の質も住まいの見た目も向上します。
部分設置のプランニングノウハウ4選
1. フェンスは横幅2mの倍数で設計
目隠しフェンスはアルミ型材の標準パネル(幅約2m)を使うことが一般的です。複数枚のフェンスを並べるときは、できるだけ2mの倍数(2・4・6・8m…)で納まるように設計するとカットの必要がなく、施工がスムーズに進み、きれいに仕上がります。


フェンスは薄い素材のため、カットすると端部が道路から見えて頼りない印象になりがちです。そのため、フェンスが途中で途切れて終わる形は避けるのがポイント。
どうしてもカットが必要な場合は、途中で切らずに手前で止め、不足分を壁などを立ち上げて隠すときれいに仕上がります。
2. 外構全体でコーディネートを意識
道路側の目隠しはフェンスだけでなく、門扉やカーポートなども含めた外構全体で調和させることが大切です。例えば、カーポートにウッド調の素材を取り入れているなら、フェンスもウッド調の商品を使用し、色味を揃えると統一感が生まれます。


建物との調和を考えるなら、窓のサッシやバルコニーの手摺、玄関ドアの色を基準にしてコーディネートすると間違いがありません。外構は「建物の延長」と意識して、トータルで美しくまとめましょう。
3. 高さ2mを超える場合は縦格子を活用
高さが2mを超える目隠しをつくる場合、ブロック塀の上にフェンスを重ねると強度面が心配です。そこで一般的なのが、地面から高さのあるスクリーンタイプの目隠しを設置する方法。しかし、高さのあるパネルが並ぶと、視線が完全に遮られ、侵入者が隠れる場所ができる心配もあります。そんなときには縦格子のスクリーンを採用すると、道路からの視線を適度に遮りつつ不審者の気配も感じられるので安心です。


縦格子は正面からだと向こうの様子を見ることができますが、斜めから見ると格子の重なりで、ほぼ目隠し状態になります。風や光も通し、よじ登りにくいため、安心と快適性の両立が可能です。
LIXILでは、「プラスG」という商品に縦格子タイプのスクリーンがあるので、ぜひ取り入れていただきたいですね。
4. 「縦割り+奇数配置」で
デザイン性をアップ
フェンスは一般的に横割り(下半分がブロック、上半分がフェンス)で設置されることが多いと思いますが、デザイン性にこだわるなら縦割りもおすすめ。縦割りは、ブロックの壁をメインで設けつつ、一部だけ壁を抜いた箇所にアルミの角材などを数本立てる方法です。全面をフェンスにするよりも個性的でデザイン性の高い目隠しを実現できます。


角材を入れるときは、奇数にするとバランスが良くなります。これは、造園で樹木や石を奇数で配置して美しい景観を作るのと同じ原理で、日本人の感性にも合った仕上がりになると考えられています。
【施工事例】プロのアイデアに学ぶ!
フェンスを活用した賢い目隠し術
壁と角材で演出した
程よい目隠しの玄関アプローチ
玄関が道路に面した事例では、壁で完全に塞ぐのではなく、アルミの角材も配置することで適度な抜け感を維持しながら、道路からの視線を程よくカット。また、駐車スペースの奥に見える隣地境界には縦格子のスクリーンを設置し、隣家の裏側を隠しながら、上質な空間を演出しています。




階段の間接照明や、玄関先の坪庭のようなスペースに入れたスポットライトでライトアップすることで、夜間もおしゃれな玄関になっています。また、道路側からは玄関先がチラッと見える設計で防犯性とデザイン性を両立しています。
玄関の正面を
「壁+縦格子」でカバー
玄関の正面に門袖壁を2枚重ね、その後ろに縦格子を設置することで、玄関ドアが半分ほど隠れるようにした事例です。また、隣家の隣地境界に真っ白な目隠しフェンスがあり、アプローチから見えることを気にされていました。そこで、縦格子のフレームを伸ばして90度に曲げ、隣地境界側にもスクリーンを設置しました。


先述のように縦格子は正面から見ると適度な透け感があり、直角に設置すると格子の重なりで、道路側から隣家はほとんど見えない状態にできます。こちらの事例では「Gスクリーン」の縦格子タイプを使用しましたが、家の正面と横のどちらも十分な目隠し効果を発揮しています。
旗竿地の路地部分を
隣家の配置に合わせて目隠し
旗竿地の路地部分で隣家の裏側が見えないように工夫した事例です。右側の隣家にはお風呂場や脱衣所、トイレの窓が並んでいたため、風を通しながら目隠しできるルーバータイプのフェンスを設置しました。
左側の隣家は庭先のため、隣家からの見栄えも配慮しつつ板張り状のフェンスで視線を遮りました。さらに、壁と床の間に土のスペースを残し、緑や照明を加えて小径風に演出することで、通り抜ける時の心地良さも高めています。

土地の高低差による
景色のノイズをすっきり解決
隣地ごとに地面の高さが異なる敷地での施工事例です。お施主様は、リビングの窓から正面を見たとき、ちょうど目線の高さに隣家の室外機が見えることを気にされていました。そこで、デザイナーズパーツの板材と角面材を組み合わせたオリジナルフェンスを設置し、室外機だけをピンポイントで目隠ししました。
また、リビングから庭に出ると、左側に高さ約3mの古い擁壁があり目立っていたため、その目隠しとして縦格子の「プラスG」を設置。隣家に囲まれた庭がすっきりと明るい空間に変わりました。リビングの正面には花壇とベンチを配置し、室内から絵になる景色を楽しめるよう演出しています。



LIXILの「デザイナーズパーツ」は、パーツの隙間や角材の太さを自由に設定できるため、凹凸感やランダム性のある立体的なデザインが特長です。高さも自由で、専用の柱を使うとビスが隠れる設計になっているため、仕上がりもすっきりと美しくなります。

必要な場所に必要なタイプのフェンスを設置するだけで、住まいの居心地は格段にアップ。今回ご紹介した事例やプロのアドバイスを参考に、ご自宅の気になる場所へ部分的な目隠しを取り入れてみてはいかがでしょうか。





最近はオープンスタイルの外構を選ぶ方も多いですが、いざ住んでみると道路から家の中が丸見えで「やっぱり目線が気になる」とリフォームの相談に来られる方もいらっしゃいます。
一部に目隠しを付けるだけでも安心感が出ますし、お部屋もカーテンを開けて外の光を取り入れながら快適に過ごせますよ。