防犯の専門家に聞きました!泥棒に狙われにくくなる住まいと暮らしのポイント
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防犯の専門家に聞きました!
泥棒に狙われにくくなる
住まいと暮らしのポイント

家族が安心して暮らせる家づくりのために欠かせない防犯への配慮。今回は、防犯の専門家としてメディアでも活躍されている、一般社団法人 日本防犯学校の学長、梅本正行先生にお話を伺いました。住まいの防犯性を高めるための基礎知識やエクステリアの選び方など、泥棒に狙われにくい家を考えたい方は必見です。

梅本 正行

PROFILE

梅本 正行

一般社団法人 日本防犯学校学長
防犯ジャーナリスト

秋からは空き巣が増加!
エクステリアで有効な対策を

秋に空き巣が増えやすいと言われているのはご存知でしょうか。連休を使った家族旅行や、お子さまの行事など家を留守にすることが多いため、このタイミングで泥棒は侵入したり、ターゲットの家の下見などを行っているそうです。

特に秋口から増えるのが「宵空き(よいあき)」と呼ばれる空き巣です。宵空きとは夕暮れから夜間を狙った空き巣のこと。日が落ちる時間が早くなる秋は、夕方から室内の照明が付いていないと家族の不在が分かってしまうので、泥棒に狙われやすくなります。また、秋は涼しい風を部屋に取り入れようと窓を開けたままの家が増えることも、泥棒の活動が増える理由のひとつとされています。このように、日が落ちる時間が早く、家族の不在や窓が開いたままの家が増える秋は空き巣にとって絶好の季節となるのです。

住まいの防犯性を高めるための
4つのポイント

梅本 正行

泥棒の侵入場所となるのは玄関ドアや窓。そのため、フェンスや門扉などエクステリアを使って泥棒を侵入場所に近づかせないことは有効な対策です。また、しっかりと外構をつくることは、「この家は侵入しにくいな」と泥棒の心理的な抑止を生み出す効果も期待できます。では、はじめに、泥棒が好む環境や家の特徴とはどのようなものか、外まわりや庭をプランする際の注意点など、住まいの防犯性を高めるために知っておくべき4つのポイントをご紹介します。

狙われやすい環境や立地を知る

自分の家が被害に遭わないためにも、まずは泥棒が好む環境や立地をいくつか知っておきましょう。

泥棒が好む環境や立地として、鉄道沿線の近くはそのひとつ。電車の通過音を利用してドアをこじ開けたり、格子を外したり、ガラスを割ったりします。実際に鉄道沿線に建つ家では、過去に狙われたことがあるためか、線路側の外構や窓にセンサーライトや後付け格子を設置している家が多く見られます。

川沿いの家も注意が必要です。土手側の敷地が真っ暗になることが多く、泥棒にとって姿を隠しやすい恰好の場所となります。特に土手側にバルコニーがある家の場合、洗濯物を干していると家族構成や生活スタイルなどの情報を泥棒が入手しやすくなるため、さらに狙われやすくなります。

若いファミリーに人気のある公園の近くも要注意。人が集まりやすい場所は、同時に泥棒にとっては都合のよい場所でもあります。公園では人が長時間いても不自然でないため、ベンチに座りながら住人が家を出るところをじっくりチェックできます。外出するのを見届けたあとインターホンを押して留守を確認し、反応がなければ家の裏から侵入します。同様の手口で、コンビニエンスストアの駐車場から様子を伺う泥棒も増えています。

侵入者がひそめる場所をつくらない

環境や立地だけでなく、家そのものにも注意が必要。ここでは狙われやすい家の特徴をご紹介します。

ひとつ目は、敷地内の見通しが悪いことです。外からの視線を気にして植栽をたくさん置いたりすると敷地内の見通しが悪くなり、泥棒が身を隠しやすいため侵入されるリスクが高まります。

外構が暗いことも泥棒が好む家の特徴です。夜に真っ暗で、敷地の中が見えないと、そこに潜むことができ、外からも見つかりにくくなります。外構に照明を設置する、リビングに留守でも明かりが付くタイマー式の照明を取り付けておくなど、住まいに人の気配を感じさせることが大切です。

特に、庭の見通しが悪く、暗い家は狙われる危険性が高まります。雑草が生えっぱなしで荒れている庭は、防犯意識が低いと判断されることも多く、実際に鍵をかけていない家も多いため、侵入されるケースが後を絶ちません。

梅本 正行

では、泥棒の侵入を防ぐためには、どのような点に注意して、外まわりを設計するとよいのでしょうか。次は具体的にエクステリアアイテムを選ぶ際の注意点や、庭をプランニングする際の防犯配慮のポイントを見てみましょう。

足場になりそうなものは設置しない

2階への足場がある家は注意が必要です。泥棒は、雨樋や物置、庭に置かれたはしごや脚立、給湯器など、さまざまなものを足場にして2階から侵入します。2階の窓に向かって足場になりそうなものはなるべく置かないようにしましょう。

カーポート

カーポートを設置する際は、2階への足場にならない配置と設計を心がけましょう。窓の近くに設置する場合はフィックス窓にする、あるいは人が入ることのできない開口部の狭い窓にするといった対策をとってください。ほかにもカーポートの横に大きな樹を植えると、そこを足場にされることもあるので注意が必要です。

カーポート
フェンス

横格子のフェンスはフェンスのすき間に足をかけて登り、敷地内に侵入される場合があるので、侵入を防ぐには縦格子のフェンスがおすすめです。このとき、格子を手でつかまれないように、指は入っても手のひらは入らない幅の縦格子を選ぶことがポイント。縦格子は斜め方向からの視線に対して目隠し機能があるため、プライバシーが気になる方でも安心して設置できます。

梅本 正行

ほかにも、閉まるとロックが掛かる電気錠タイプの門扉もおすすめです。強盗対策では宅配ボックスを設置しておくと安心。車を置いている方は門扉と車庫前門扉だけでなく、カメラやセンサーライトも付けて愛車を守りましょう。

庭の防犯配慮は窓まわりを重点的に

戸建て住宅では、掃き出し窓とデッキを合わせて出入りしやすい設計が多く見られます。しかしデッキがあるため、出入りしやすいようにと、簡易に開けられるタイプの鍵(クレセント錠)を選ぶのは危険です。できるなら鍵(クレセント錠)だけでなく、掃き出し窓にはシャッターを設置しましょう。最近は後付けできるタイプや電動タイプなど種類も豊富です。もし、シャッターの設置が難しい場合は、ガラスを防犯ガラスに変えて窓に鍵付きの補助錠をつけるのもひとつの手です。

また、サンシェードやよしず、すだれ、グリーンカーテンを設置している場合は、窓の下に防犯砂利を敷くとよいでしょう。シェード類は、外出時や夜は畳んで泥棒の隠れ場所をつくらないようにしましょう。さらに、人が近づくと明かりが付くセンサーライトを設置すると、より防犯意識の高い家に近づきます。

梅本 正行

庭が見えるお風呂場の窓は、換気のために窓を開けたままにする人も多く、侵入経路に狙われやすい場所です。お風呂場の窓には「防犯性の高い建物部品」として認められているCPマークの付いた格子を設置して、できれば補助鍵を付けておくといいですね。

防犯性を高めるために欠かせない
エクステリアのメリット

エクステリアを充実させると、暮らしに便利さや心地よさを与えてくれますが、特に防犯配慮においては非常に多くのメリットをもたらします。

敷地がセーフティゾーンになる

たとえば、インターホンが玄関扉のすぐ横に設置されている家は、周囲に怪しまれることなく犯罪企図者が敷地に自然に入ることができます。最近はインターホンを押して留守を確認し、「遅くなりました、○○です。はい、分かりました。では裏に回ります」など住人と会話しているフリをしながら、外から見えにくい場所に移動し侵入する手口も多いそうです。こうした侵入も門扉で敷地に入れない設計にすることで、被害を防ぐことができます。

門扉

さらに、小さなお子さまがいるご家庭では、門扉やフェンスによって道路への飛び出しを防止できるなど、エクステリアは外部からの侵入者を防ぐだけでなく、敷地内を家族のセーフティゾーンに変える効果もあります。

高度化する自動車盗の防止になる

自動車盗難の件数は減少傾向にありますが、その一方で盗難の技術は高まっています。たとえば、家の玄関などに置かれたスマートキーから常時発信されている電波を受信し、窃盗仲間にリレー形式で送信して車を解錠するリレーアタックは多い盗難手口です。最近では、車のいたるところに通っているCANという配線を経由して自動車を制御しているシステムに侵入し、解錠を行うCANインベーダーという手口も増加してきました。

エクステリアアイテム

こうした高度化する自動車盗から愛車を守るためには、まず泥棒を車に近づけないことが大切です。物理的に泥棒の接近を防ぐことができるフェンスや門扉・ゲートなどのエクステリアアイテムは、こうした窃盗にも有効です。

梅本 正行

旗竿地(細い路地を通った先にある奥まった土地)にある家や、家がたくさん並んでいる住宅街の1番奥に建つ家は、人があまり通らないため、こうした自動車盗にも狙われやすくなります。エクステリアアイテムでしっかり防ぎましょう。

LIXILのエクステリアなら
防犯性に便利さもプラスできる

LIXILは防犯性に配慮しながら、暮らしを便利にするエクステリアアイテムを豊富にご用意しています。

たとえば侵入者を物理的に防ぐ門扉でも、近づくだけで解錠できる「システムキー」など、さまざまなエントリー方法を選ぶことも可能。

スマートフォンと連携して荷物の受け渡しに対応できる宅配ボックス「スマート宅配ポスト」を設置すれば、対面でのやり取りの必要もないのでさらに安心です。

敷地内を明るく照らすエクステリアライトも多彩にご用意しているので、外まわりの暗い場所もなくすことができ、不在のときでも人がいる気配をつくることができます。

さらに防犯性を高めたい方は、室内からエクステリア空間までしっかり見守ることができるホームネットワークシステム「スマートエクステリア」もおすすめです。スマートフォンを通して、室内やカーポートなど外まわりの様子をカメラ映像で確認したり、音声でやり取りすることもできるので、外出時の不安も解消できます。

スマートエクステリア
侵入者を知らせてくれる屋外カメラ

こうした最新のエクステリアアイテムを組み合わせて、より安心に、便利に暮らせる住まいを実現しませんか。