エクステリアの匠に聞きました!角地を活かした外構づくりのポイント
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エクステリアの匠に聞きました!
角地を活かした
外構づくりのポイント

開放的で根強い人気を誇る「角地」。今回は、エクステリアの匠こと「エクスプランニング」の古橋 宜昌さんに角地を活かした外構づくりのポイントを伺いました。安全性と快適性を両立し、洗練された外構を実現したい方は必見です。

古橋先生

PROFILE

古橋宜昌

有限会社エクスプランニング代表取締役
一級建築士/一級造園施工管理技士/
一級土木施工管理技士
エクステリア&ガーデンアカデミー校長
一般社団法人日本エクステリア設計協会会長

見た目の派手さや奇抜さだけではなく、住む方の立場に立ってコストや施工性、安全性、そしてメンテナンスまでも考えて、トータルでデザインを手掛けるエクステリアの匠。

http://explanning.m78.com/index.html

角地に家を建てるメリットとは

敷地の両隣を家や建物で囲まれることがなく、人気の高い角地。せっかくならそのメリットを最大限に活かした住まいを実現したいものですね。暮らしやすく、街並みにも映える外観に仕上げるために、まずは角地のメリットを知っておきましょう。

日当たりや風通しが良い

角地のメリットは何といっても敷地の2面が隣家と接していないため、開放的に暮らせること。周囲の環境や方角によっては採光も取りやすく、うまく活用することで住まいへの風通しも良くすることができ、心地よく快適な住まいを実現できます。

設計時の自由度が高い

敷地の2面が道路に面しているため、住宅設計の自由度が高い点も魅力のひとつ。玄関の位置を2方向から選べたり、日当たりの良い方角にリビングや庭を設けたりなど、設計プランの可能性が広がります。

建ぺい率が緩和される場合がある

建築基準法では、敷地面積に対してどのくらいまでの建築面積の建物を建ててよいのか(建ぺい率)が定められています。角地の場合、条件に当てはまれば「角地緩和」といって建ぺい率が10%加算されるため、敷地に対してより広く建築面積を確保することができます。

※緩和条件は自治体により異なるため、事前にご確認ください。 

古橋先生

角地は住宅設計の自由度が高いメリットがある一方、外構づくりでは周囲からの視線や安全面など考慮すべき点もたくさんあります。
住まいのデザイン性を高めながら、安心かつ快適に過ごせる外構づくりのポイントをご紹介します。

快適&安全な角地の
外構づくりアイデア4選

1. 目隠しの高さは敷地の中から考えよう

古橋先生

隣家からの視線はあまり気にならない一方、道路からの視線が気になりやすいのが角地。目隠しを設置する際は、敷地に対してどのぐらいの高さの目隠しが必要かを考えましょう。

たとえば敷地が道路と同じ高さで高低差がない場合、通行人の目の高さは地面から約1.5mを想定するので、視線を遮るためには1.5m以上の目隠しが必要です。

一方、敷地が道路よりも高い場合、道路からの高さで目隠しを計画してしまうと、いざ敷地の中から外を見るとフェンスが低く感じてしまうことがあります。外構プランを検討する際は、敷地と道路の高さを比べ、敷地の中から見て目隠しの高さが十分かを確認することが大切です。

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古橋先生

角地は敷地の2面が道路に面している分、設置する目隠しの量が増え、予算がプラスになることがあります。家づくりの早い段階から外構の予算を取っておくと安心です。

2. コーナーの門は
安全確認ができるスペースづくりを

古橋先生

角地のコーナーから斜めに建物を見ると立体感が出ておしゃれに見えるため、コーナー部に門を設けたいという方が多くいらっしゃいます。しかし場合によっては3方向から車や自転車、バイクが通ることもあるので、安全面に配慮することも重要です。

角地は交差点の見通しを良くしたり車などが曲がりやすいように、土地の角を斜めにカットする「隅切り」が行われます。この隅切りのギリギリに門を構えると、敷地を出てすぐ目の前が道路になるため危険です。

隅切り
隅切り

コーナー部に門を構えるときは、隅切りよりも後ろに下げましょう。門扉や門壁と隅切りの間に安全確認ができるスペースが生まれるので、お子さまの飛び出しを防ぐ効果も期待できます。
門扉が建物側に扉が開く内開きタイプであれば、一度手前に引いてひと呼吸おいてから道路に出ることができるので、より飛び出し防止の効果を高めることができます。

コーナー門
隅切りより門を下げた場合
古橋先生

門の位置を下げて空いたスペースに植栽やシンボルツリーを植えたり、足もとにスポットライトを付けたりすると夜も明るくおしゃれな外観に仕上がります。
角地の住宅が暗い街と明るい街では、街並みの印象も変わるので、照明を付けて住まいと街の防犯性も高めましょう。

夜のコーナー門

3.クローズ外構は門扉を道路に対して
直角に配置するとおしゃれに

古橋先生

クローズ外構と聞くと、門扉と門壁がひと続きに横に並ぶデザインをイメージしますよね。最近は門扉を門壁よりも少し低くするケースも見られるため、道路から門扉越しに敷地の中が見えてしまうのではないかとプライバシーに不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。

そんなときは2枚の門壁を前後にずらして立て、門壁に対して垂直に門扉を設置するのがおすすめです。門扉を道路に対して90度直角に回転させるため、門壁より門扉の高さが低い場合も、正面から門扉越しに敷地の中が丸見えになる心配が減らせます。

2枚門
夜の2枚門
古橋先生

プライバシーを確保したいけど、クローズ外構は閉塞的で好まないという方も、ご紹介した設置方法でおしゃれな門まわりに仕上がります。
門扉の前後にできたスペースに植栽を入れたり、屋根も掛けたりすると、とても素敵な門構えが完成します。

クローズ外構

4.オープン外構は花壇で
動線をコントロール

古橋先生

角地でオープン外構にする場合、気になるのがお子さまの飛び出し。なかでも隅切りに出入り口を設ける場合は注意が必要です。
そこで安全性を高めるアイデアとしてご紹介したいのが、花壇を使った動線のコントロールです。

たとえば東側の道路の交通量が多い南東角地の住まいで、隅切りに出入り口をつくる場合、東側に花壇を置き、出る方向を南向きのみに制限するように設計すると安全性が高まります。南側も少し含めて花壇をL字型につくると、出入り口を隅切りから少し横にずらすことができるので、よりお子さまの飛び出しを防ぐことが可能です。

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花壇の中にLIXILの「デザイナーズパーツ」の枕木材を何本か立てることで、物理的に花壇をまたげなくすることもできます。安全性はもちろん、門まわりに格子がアクセントとして入るので、道路から見たときの見栄えもグレードアップします。

デザイナーズパーツ

角地の庭づくりは門の位置がポイント

古橋先生

角地の庭づくりは、道路から見たときの門構えの格好よさと、室内側から見たときの庭の広さのどちらを重視するかによってプランが大きく変わります。ここでは、南東角地の住まいを例にそれぞれのポイントをご紹介します。

門構えの格好よさを重視する場合

門構えを重視する場合、隅切りに門を設けると外観の印象は高まりますが、門から玄関ドアまでのアプローチが庭の中心を通る設計になります。アプローチによって庭が東側と西側に分断されるので、アプローチを小道風にデザインすると一体感を演出できます。アプローチを利用して東と西の庭でテーマを変えると、眺める庭と遊ぶ庭など楽しみ方も広がります。

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庭の広さを重視する場合

できるだけ庭を広く残したい方であれば、建物の玄関を東側や西側に寄せて、門の位置を隅切りからずらす方法があります。アプローチが敷地の中心を通らないので、隅切り部分まで含めて庭づくりを楽しんだり、室内から見たときにより庭を広く感じられます。

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古橋先生

道路から見たときにブロックとフェンスで周囲を囲うだけで外観が単調に見えるときは、コーナー部にだけデザインの異なる壁を設置するとアクセントが生まれます。また、お庭の角にあたるコーナー部の内側に大きな樹木を1本入れるだけでも印象がとても良くなるのでおすすめです。

駐車スペースは出る方向を
1か所に限定しよう

古橋先生

角地に駐車スペースをつくるときは、門まわりと同様に出会い頭の事故につながらないように安全面の確保を第一に考えましょう。

コーナーに駐車スペースをつくるのはできるだけ避けたいところ。しかし、敷地面積や建物との関係でコーナーに駐車スペースが必要な場合、車が出る方向を1か所に限定することがポイントです。たとえば南東角地の住まいで出る方向を南側に限定したのであれば、東側の道路との間に花壇や壁をつくって物理的に出られないようにすると安心です。

建物に調和しながら、

動線をコントロールできる
「フェンスAL」

フェンスAL

外構の動線をコントロールするエクステリアアイテムなら、LIXILの「フェンスAL」がおすすめ。狭小地などで十分な幅の花壇や壁を設置できなくても、出入り口をスマートに演出できます。

フェンスALは、さまざまな住まいと調和するシンプルなフレームフェンス。高さは400・600・800mmの3段階から選ぶことが可能です。40cmの高さでも乗り越えにくくなるので、すっきりとおしゃれに角地の動線をコントロールできます。

フェンスAL40

オプションでLED照明を入れることも可能。日中は侵入や飛び出しを防ぐ柵として役立ち、夜になるとLED照明によって花壇と道路をやさしく照らすことができます。

フェンスAL夜
LEDlights

希少性が高い角地は、外構づくりの参考になる事例を見つけるのもひと苦労。角地の外構づくりに悩んでいる方や、これから角地に家を建てようと検討されている方は、ぜひ今回のアイデアを参考にしてください。